これは議論されるべきと言わざるを得ない。
1%芸術法(1 pourcent artistique)というものをご存知だろうか。
私は最近知ったばかりで、芸術に対する補助金に驚いているのではなく、
作られる作品とその後について驚いている。
1%芸術法(1 pourcent artistique)
公共建築の建設費の1パーセントを、その建築物に関連・付随する芸術・アートのために支出しようという考えのこと。欧米では戦後早い時期に、公共建築の建設費の1%をその建物に関連する芸術に割り当てる法律が成立した。この建設費を環境芸術に割り当てる歩合国や自治体によって様々である
引用 ウィキペディア
これは、フランス世界遺産の城塞カルカッソンヌに施されたアート。
どんなアートかというと
作業の動画
2018年に世界遺産20周年を記念して、Felice Varini 氏が制作。
観光客はどこから円が見えるのかと探して楽しんでいる様子だとか。
初めて写真を見た時、デジタルで施された冗談なのかと目を疑った。
費用は20万ユーロ、約2億円
アートって何?
またカタカナが邪魔をする。
芸術とアートとartの意味は違うだろうか。
これはフランスなので芸術でもアートでも同じだろうが、現代アートの部類だ。
そして2021年の3年後、カルカッソンヌの城塞はこうなっている。
最後にインタビューに答える人がこれについて悪く思っていないことは驚きだ。
アート自体、アートが施されたその後を含めて賛否両論だろう。
しかしこれが芸術だろうか。
歴史的建造物を残そうとする人間。
それに現代の価値観を当てはめようとする動き。
その融合がこうなるのだろうか。
黄色のアルミ(metal jaune)を貼り付け、それを剥がした後に壁に残された跡。
政府(州)がこの計画のために資金を出したが、皮肉なことにこの跡を修繕するために政府に費用が請求されるようだ。
歴史的建造物を見て、そのものが過ごした時を感じるのが好きだが、この不自然な跡を見る度に時が刻まれた美しい石が受けたものを思うとやるせない。
10年以上前、この地を訪れた。
アーモンドか何か桃色の花が咲く頃、街に着いて遠くからこの建物を見た時、胸が熱くなった。
今はその建築物に跡が残る姿が見えるのだろうか。
もちろん1%芸術法で作成された芸術(現代アート)はこれだけではない。
フランス語単語
une cité (伝統のある)都市、町
un patrimoine 遺産
l’art contemporain 現代アート
pure vandalism 芸術作品の破壊(動画のコメントより)
une facture 請求書
subvention 補助金
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